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March 11, 2006

Yahoo!井上社長、ネットバンクは決済だけでは利益でない

Impress:「多分、儲からない」ヤフー井上社長がネットバンキング事業のビジョン
 ヤフーは2005年1月、あおぞら銀行とインターネット専業銀行を立ち上げることで合意し、2006年春のサービス開始を目指していたが、2月23日になって提携を解消した。ただし、インターネットバンキングに進出する方針に変わりはなく、井上社長によれば「多分、他行と組んでやることになる」という。
 井上社長は「ヤフーが銀行の業務に興味を持っているのは、Eコマースのマーケットが拡大すれば、物の流れとお金の流れが必ず必要になるから」と説明する。このうち「インターネットでのお金の流れ」の方を手がけようとしているわけだ。今後、有料のコンテンツやサービスが増えてくれば「そこにもお金の流れが生まれる。Eコマースとコンテンツをより密接に結び付けていくことができれば、Eコマースやコンテンツのマーケットそのものをもっと大きくできる」。  一方、銀行業というビジネスについて井上社長は「銀行そのものは、お金を貸し出さないと儲からない。決済だけでは利益率はそれほど高くない」と指摘。これに対して、決済機能を中心に見据えたインターネットバンキングは「それだけでは多分、儲からないから、事業機会としてはそんなに面白くない」と言い切る。
 井上社長の発言から判断する限り、ヤフーにとってのインターネットバンキング事業自体は、現在のオークションやリスティング事業などと並ぶ新たな収益の柱として展開しようとしているわけではないようだ。競合する大手ポータルが金融部門で収益の多くを上げている点についても、そのようなビジネスを展開する考えはないとして「ヤフーは“インターネット企業”としてがんばります」とコメントした。  ヤフーは2月28日にSNS「Yahoo! 360°」のベータ版を公開し、3月5日時点ですでに登録数が1万人を突破したというが、SNS市場への参入に遅れをとったのは否めない。井上社長によれば、こういった新規サービスの開始が遅くなってしまう背景には、同社が提供しているサービスの種類が多いために新規サービスになかなか手が回らないということのほか、「セキュリティで開発プロセスそのものが昔に比べて時間がかかるようになっている」ことも挙げられるという。
 ヤフーでは、ソフトバンクBBにおけるYahoo! BBの顧客情報漏洩事件があってからセキュリティ意識が高まったという。現在は新規サービスを企画する段階で「最初、セキュリティから考えてしまうところが正直ある」(大蘿淳司PS本部長兼マーケティング部長)。これは技術者だけでなく、企画者の段階でもセキュリティが検討項目に含まれており、企画者が暴走できないような仕組みになっているとしている。
 具体的には、セキュリティに関するルール(枠組み)を設けており、新規サービスを開始しようとする場合は、設備や情報の取り扱いなどに関して、その枠の中に収まることが求められる。  このほか懇談会では、検索事業においてローカル検索を重要視していることも井上社長は強調した。「今、みんなが放送と通信の融合で大騒ぎしているが、もっと重要なのはオンラインとオフラインの融合。または、なんらかの形で接点を持つこと」。リアルとバーチャルが結び付くということになれば、地域やロケーションという要素が有用になるとして、地図会社のアルプス社の事業を譲り受けた意図をあらためて説明した。

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