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February 02, 2006

「Winny」開発者を招いた公開研究会

ITmediaニュース:開発者が語る“ポストWinny”
 P2Pファイル交換ソフト「Winny」開発者の金子勇氏を招いた公開研究会が、都内の国際大学GLOCOMでこのほど開かれた。金子氏は「匿名性と効率性の両立を目指した」とWinny開発の意図を語り、“ポストWinny”の姿も示唆。Winnyの倫理を論じるパネルディスカッションにも耳を傾けた。
 「匿名性と効率性は、基本的にはバッティングすると思っていた」――金子氏がWinnyを開発したきっかけは、匿名性の高いファイル共有ソフト「Freenet」との出会いだ。Winnyは、Freenet的な匿名性を保ちつつ、多段中継やキャッシィングの仕組みなどを活用することで、Freenetよりも効率的なファイル共有システムを目指したという。
 その目的はある程度達成され、Winnyは多くのユーザーの支持を得た。ただ「Winnyには、未解決の技術的テーマがある」金子氏は語る。放流されたファイルの管理と、システムのオープンソース化だ。
 金子氏は、一度放流したファイルは消せないという管理不可能性は「Winnyの技術的欠陥」と自ら認める。これを解決するアイデアはいろいろあるというが、Winny開発をめぐって公判中の今の彼は、それを試せる立場にはない。
 その後、オープンソースで、かつ、効率性を重視したP2Pファイル交換ソフト「BitTorrent」なども登場し、オープンシステムで効率性を高められる可能性が開けてきた。金子氏は、次世代のP2Pファイル交換ソフトは、BitTorrentの発展系で、匿名性と効率性を備えたオープンソース型システムだろうと話し、それが実現する環境はすでに整っているとした。
 金子氏の講演の後に、Winnyの倫理的な問題点を考えるパネルディスカッションが開かれ、金子氏は観客席から時に苦笑し、時には拍手しながら耳を傾けた。
 産業総合研究所情報セキュリティ研究センター主任研究員の高木浩光氏は、Winnyの問題は、アーキテクチャそれ自身ではなく、ユーザー側が自覚のないまま著作物ファイルを中継し、著作権法に違反しえたことにあると指摘する。高木氏は「開発者側は、Winnyの利用が著作権違反につながる可能性があることを、ユーザーに分かりやすく告知すべきだった」と話す。
 ただ、開発者個人の倫理だけに責任を問うのは無理があるという意見もある。GLOCOM主任研究員の山根信二氏は「われわれは、コントロールできない技術をすでに手に入れてしまった」と指摘する。たった1人の開発者がWinnyのようなソフトを作って世界に配布でき、それを喜んで使った人がたくさんいるという現状を、まずは受け入れるべきという意見だ。

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