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February 21, 2006

通信と放送の融合に著作権法の改正も検討

通信と放送の融合に著作権法の改正も検討を - 知財本部が提言 (MYCOM PC WEB)
 政府の知的財産戦略本部は、コンテンツ専門調査会の第7回会合を開き、「デジタルコンテンツの振興戦略」についてとりまとめた。同戦略では、3つの目標と11の提言を掲げ、その中で、通信と放送の融合に向け、ブロードバンド放送(IPマルチキャスト放送)を活用するために著作権法の改正も含めた必要な措置を速やかに講じることを提言している。
 知財本部では、「日本を世界トップクラスのデジタルコンテンツ大国にする」という基本目標の下に、(1)ユーザーが多様な種類と価格のコンテンツを選択できるユーザー大国の実現(2)クリエーターが適正なリターンを得ながら、最大限に能力を発揮できるようにするクリエーター大国の実現(3)経営の近代化・国際化を図り、国際競争力をつけて産業規模を大きくするビジネス大国の実現――という3つの目標を掲げて、国の政策や民間の活動について「抜本的な改革が必要」としている。
 具体的な方策については「改革は民が主体・官は阻害要因を排除」という位置づけから11の提言が挙げられている。提言1では、放送と通信の融合の観点からIPマルチキャスト放送を積極的に活用するため、「著作権法上の取り扱いを早期に明確化し、法改正を含め必要な措置を速やかに講ずる」としている。
 また過去に放映されたテレビ番組について、インターネットでも視聴したいというニーズがあることから、過去に作られたコンテンツをテレビ以外でも二次的に利用できるようにするため、著作権契約上の課題を解決する取り組みを進めることも提言しているほか、契約時にインターネットでの利用も視野に入れた契約条項を設けることが有益で、その契約書のひな形の作成・公表などを業界に求める。業界では、映像コンテンツのブロードバンド配信の使用料目安が暫定合意されているが、このような二次利用におけるルール作りに関する取り組みを促進する。


 現行制度では、テレビ放送(生放送を除く)に関しては著作隣接権を持つ歌手・俳優などの「実演家」やレコード会社などに許諾を得る必要はなく、放送後に使用料を支払うだけでいいが、インターネットでの配信では、事前に実演家やレコード会社などへ個別の了解が必要となっている。これはテレビ放送が著作権法上「放送」として扱われ、IPマルチキャスト放送は「自動公衆送信」(通信)と扱われているからだ。しかし、地上デジタル放送の難視聴地域対策としてもIPマルチキャスト放送を期待する考え方もあり、著作権の手続きの簡素化が求められていた。
 これに関しては、今月に入って文化庁や竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が、相次いで著作権法を見直し、著作権の手続きを「放送」並みに簡素化する方向で結論を出しており、知財本部も複数の提言でIPマルチキャスト放送について触れ、著作権法改正も視野に入れて積極的にIPマルチキャスト放送の普及を目指す考えを示した。
 ただ、通信と放送の融合に関しては権利団体らからの反発も招いており、調査会委員からも「コンテンツホルダーの意見が反映されていない。著作権者、著作隣接権者に対する意見集約を行うべき」(小学館・久保雅一委員)という意見も出されている。文化庁の計画では、文部科学相の諮問機関である文化審議会で今夏までに結論を出し、2007年の通常国会での改正案提出を目指す。
 著作権に関しては私的録音・録画の抜本的な見直しも提言。現在は、音楽・映像の録音や録画に関しては、私的利用に限り一定の補償金を支払うことで可能になっていたが、iPodに代表されるデジタルオーディオプレイヤーの普及などで制度自体の見直しの気運が高まっている。提言では補償金制度の廃止も視野に入れて抜本的な検討を行い、2007年度中には一定の具体的結論を得るよう提言している。これに関しては、技術的保護手段との関係もふまえた上で私的複製の範囲を明確化、使用料と複製対価との関係を整理して著作権契約も見直すとともに、オンライン配信への移行もふまえた音楽関連産業のあり方についての検討にまで話を広げている。

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