February 17, 2006

電子マネー取得も「詐欺」

河北新報ニュース 電子マネー取得も「詐欺」 最高裁が初判断
 他人のクレジットカード番号を入力して電子マネーを取得したことが「機械に虚偽の情報を与えた」という電子計算機使用詐欺罪の要件を満たすかどうかについて、最高裁第1小法廷は16日までの決定で「入力した番号が真正でも、他人名義の申し込みで虚偽の情報を与えている」として同罪の成立を認める初判断を示した。
 島田仁郎裁判長はその上で、電子計算機使用詐欺や強姦(ごうかん)など4つの罪に問われた京都市の金沢桂士被告(27)の上告を棄却した。懲役5年の1、2審判決が確定する。決定は14日付。
 電子計算機使用詐欺罪は1987年に新設。コンピューターに虚偽、不正な指令を与えて利益を得た場合に適用される。

電子計算機使用詐欺罪適用ですね。。現在電子マネーを発行する会社は相当数あり、虚偽情報による購入も相当数に上ると思われます。かなり影響範囲が広そうです。




判決速報でました。
最高裁判決:平成18年02月14日 第一小法廷決定 平成17年(あ)第1601号 強姦,恐喝,窃盗,電子計算機使用詐欺被告事件
 弁護人屋敷哲郎の上告趣意のうち,違憲をいう点は,実質は単なる法令違反の主張であり,その余は,量刑不当の主張であって,適法な上告理由に当たらない。
 被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,適法な上告理由に当たらない。
所論にかんがみ,電子計算機使用詐欺罪の成否につき職権で判断する。
 原判決及びその是認する第1審判決の認定によれば,被告人は,窃取したクレジットカードの番号等を冒用し,いわゆる出会い系サイトの携帯電話によるメール情報受送信サービスを利用する際の決済手段として使用されるいわゆる電子マネーを不正に取得しようと企て,5回にわたり,携帯電話機を使用して,インターネットを介し,クレジットカード決済代行業者が電子マネー販売等の事務処理に使用する電子計算機に,本件クレジットカードの名義人氏名,番号及び有効期限を入力送信して同カードで代金を支払う方法による電子マネーの購入を申し込み,上記電子計算機に接続されているハードディスクに,名義人が同カードにより販売価格合計11万3000円相当の電子マネーを購入したとする電磁的記録を作り,同額相当の電子マネーの利用権を取得したものである。
 以上の事実関係の下では,被告人は,本件クレジットカードの名義人による電子マネーの購入の申込みがないにもかかわらず,本件電子計算機に同カードに係る番号等を入力送信して名義人本人が電子マネーの購入を申し込んだとする虚偽の情報を与え,名義人本人がこれを購入したとする財産権の得喪に係る不実の電磁的記録を作り,電子マネーの利用権を取得して財産上不法の利益を得たものというべきであるから,被告人につき,電子計算機使用詐欺罪の成立を認めた原判断は正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

10年前の内閣法改正で総理大臣は大統領になった

日下公人:10年前の内閣法改正で総理大臣は大統領になった - nikkeibp.jp - 企業・経営
 「意」がある政策を行うことを「プラグマティズム」という。「アカデミズム」ではない。世界中を見渡して、プラグマティズムの国はアメリカと日本だ。イギリスはノーベル賞をとるが、それはアカデミズム。アカデミズムでは飯を食えない。あまり人も尊敬してくれない。香港より、シンガポールより貧乏だ。優秀なイギリス人はみんなアメリカへ行ってしまう。
 そうした中で大学改革が始まって、「それでどうでしたか」と聞いたら、実は東京大学の教授たちの「意」はアカデミズムにも向かっていない。でもプラグマティズムは嫌いだ。結局どこへ向かっているかというと、派閥をつくって予算を取るとか、派閥をつくって誰かを除外するとか。そんなところにばかり「意」が寄っているという。もしこれが本当だとすれば、今に東京大学はつぶれてなくなる。他の大学が買いにくる。
 昔、東大を全部まとめて、誰が一番高値で買ってくれるかという議論をしたことがあるが、それは東海大学じゃないかという結論だった。そのときの入札の条件として、東京大学という名前は残るのだろう。「東海大学本郷分校」となると、値段が下がるんじゃないかとね。では、今いる教授たちはみんなくっついてくるのか。それでは値段は暴落するだろう、とかね。
 小泉改革はもう「行政改革法」という法律に移ってきている。これにはすごいことがいっぱい書いてあるのだが、この「官庁作文」をリテラシーがある人が読むと、見事に骨が抜けている。でも精神や方向を示すという点では堂々の法案で、これが間もなく出てきて、それは通るだろう。なぜなら昨年の総選挙で国民が支持したことだから。
 その中に「公務員制度改革」というのがある。「公務員がいうことを聞かない、ではどうすればいいんだ」という法律だ。国民の声は、「そんなのは要らないから、もう辞めてくれ」というわけだ。実は国民はそんなことはいっていないのだが。国民は「適材適所で再配置したら」と言っている。「民間でもできる仕事があるんだから」と。


 在任中に橋本さんは、内閣法改正をやった。ただ法律を改正した。内閣法というものを強化して、その前にあった次官会議というのを廃止した。これは手続きを決めた法律で、その後にものすごく効果があった。
 内閣が閣議にかけたり、大臣がサインしたりするものは、かつては全部、次官会議で決まったものしか上がってこなかった。その次官会議を取り仕切っているのは大蔵省(現・財務省)。例えば、総理大臣が「こうやりたい」というのを郵政大臣に命令して、郵政大臣は少しやるけれど、次官会議を通らなければダメだったのだ。
 次官会議には、例えば通産次官がいて、郵政省だけが得することは許せない。「通産にも何か得を寄こせ」というようなことをいう。それを全部まとめるのが大蔵省の次官。大蔵省は予算を持っているから、みんなに損と得とを配って全体をまとめる。そうしてまとまったものを橋本首相のところへ、「次官会議でこう決まりましたから、大臣の皆様、ひとつこれでサインしてください」といって持ってくる。
 だから橋本さんは各大臣なんかどうでもよくて、大蔵大臣、ひいては大蔵次官だけが頼りなのだ。大蔵大臣が次官に頼むと、次官が「じゃあ、やってあげます。その代わり私の天下りはよろしく」と。
 そういうふうに癒着してきたのをつぶすのが一番大事だと、内閣法を改正して、すべてなくなったのだ。だから、本来なら大蔵省は「まとめ役」を降りたはずなのだが、実際は今もまだやっている。ということは、行政改革は未完なのだが、法律的にはちゃんと成立している。その結果、総理大臣は今や独裁者になれる……。「今や」ではなくて、実は10年前からなれるような法律改正はもう済んでいるわけだ。
 つまり法律的には、首相はもう大統領になっているのだ。内閣法に書いてあるとおりにやれば、総理大臣はすべて行える。小泉首相の前から、すでにそうなっているのだ。小泉首相が特別変わっているというわけではなく、もう法律はそういうふうにできてしまっているのだ。